エンジニアの「一発当てたい」が失敗する理由 - ITフリーランスが学んだ他業種理解の大切さ
「次こそは自分のサービスで一発当てたい」
そう考えているエンジニアは多いのではないでしょうか。私もITフリーランスとして活動する中で、何度もそんな夢を抱いてきました。しかし現実は厳しく、エンジニアが個人で作るサービスの大半は鳴かず飛ばずで終わってしまいます。
なぜなのでしょうか?そして、どうすれば成功に近づけるのでしょうか?
エンジニア思考の罠:技術的面白さと市場ニーズのミスマッチ
多くのエンジニアが陥る最大の罠は、「技術的に面白い=ユーザーが欲しがる」と勘違いしてしまうことです。
新しいフレームワークを使ってみたい、機械学習を実装してみたい、ブロックチェーンを活用してみたい...そんな技術的興味が先行して作られたサービスは、往々にして誰も使わないものになりがちです。
さらに問題なのは、N1(自分が欲しいもの)の思考が浅いことです。「こんなアプリがあったらいいな」程度の思いつきで開発を始め、本当に自分が日々困っている深刻な課題なのか、お金を払ってでも解決したい問題なのかを十分に検証していないのです。
その結果、できあがるのは集客もマネタイズも困難な、誰のためのものかわからないサービスばかり。私も過去に何度もこの罠にハマった経験があります。
ITフリーランス経験で見えた「本当に求められるもの」
ITフリーランスとして様々な業界のクライアントと仕事をする中で、気づいたことがあります。本当にビジネスチャンスがあるのは、エンジニアが思いつく「IT的に面白いアイデア」ではなく、各業界の深い課題を理解することから生まれるソリューションだということです。
例えば
- 美容師さんと話していて知った予約管理の煩雑さや顧客情報の管理課題
- 建設現場で感じたアナログな作業管理の非効率性
- 飲食店経営者が抱える在庫管理や人員配置の悩み
- 士業の方々が直面するクライアント対応やスケジュール調整の課題
これらの課題は、その業界にいなければ絶対に気づけない、しかし当事者にとっては切実な問題です。そして多くの場合、ITで解決できる余地が大きく残されています。
成功への2つのアプローチ
アプローチ1:自分のN1を徹底的に煮詰める
もしあなたが特定の趣味や特技、または過去の就業経験を持っているなら、その領域でのN1を徹底的に深掘りしてください。
表面的な「こんなアプリがあったらいいな」ではなく、
- なぜそれが必要なのか?
- どの程度の頻度で困っているのか?
- 現在どんな代替手段を使っているのか?
- いくらまでなら払えるのか?
- 同じ課題を持つ人はどれくらいいるのか?
これらを徹底的に検証し、本当に解決すべき課題を見つけることが第一歩です。
アプローチ2:他業種のプロとの本気の協業
もしN1の深掘りが難しい場合は、他業種の専門家とのパートナーシップを考えてみてください。重要なのは「本気の協業」であることです。
レベニューシェアという形で利益を分け合い、お互いに真剣にコミットする関係を築く。これにより、相手も本音で業界の課題を教えてくれますし、あなたも中途半端な気持ちではなく本気で取り組むことになります。
日常生活でパートナーを見つける方法
「でも、どうやってそんなパートナーを見つけるの?」
実は、チャンスは意外と身近にあります
飲みの場での出会い スナックやバーなどで知り合った年代の違う人と深い話をしてみる。お酒が入ると本音が聞けることも多いです。
近所付き合い アパートやマンションの住人、近所の商店街の店主さんなど。挨拶から始まって、たまたま話が盛り上がることがあります。
異業種交流・勉強会 ITの勉強会ばかりではなく、他業界の勉強会やセミナーにも参加してみる。そこには現場の課題を抱えた人たちが集まっています。
趣味のコミュニティ スポーツクラブ、習い事、ボランティア活動など。共通の趣味を通じて自然な関係性を築けます。
重要なのは、最初から「ビジネスパートナーを探している」という姿勢で接するのではなく、まずは人として興味を持ち、相手の仕事や課題を理解しようとする姿勢です。
Win-Winの関係を築くために
パートナーシップを成功させるためには
- 相手の専門性を尊重する
ITエンジニアとしての技術力は武器ですが、相手の業界知識や経験も同じように価値のあるものです。 - 小さく始める
いきなり大きなプロジェクトではなく、まずは相手の日常業務の小さな課題をITで解決してみる。 - 継続的なコミュニケーション
一度話しただけでは見えない、本当の課題や業界の深い部分を理解するには時間がかかります。 - お互いの利益を明確にする
あいまいな関係ではなく、どんな価値を提供し合うのかを明確にする。
技術力だけでは勝てない時代
現代のIT業界では、単純な技術力だけでは差別化が困難になっています。優秀なエンジニアは世界中にいますし、AIの発達により技術的な参入障壁も下がり続けています。
だからこそ、他業種への深い理解と、その業界の人々との信頼関係が新たな競争優位の源泉になるのです。
最後に
偉そうなことを書きましたが、実は私も現在、ITとは全く異なる業界である建設コンサルタント業界のDXに貢献したいと考え、日々奮闘している段階です。建設業界の方々から現場の課題を教えていただきながら、どうすればITの力で業界に価値を提供できるかを模索しています。
まだ成功事例を語れる立場ではありませんが、だからこそ同じような挑戦をしている方々と一緒に学び、成長していければと思います。
エンジニアの皆さん、一度視野を広げて、自分の技術力を活かせる新しいフィールドを探してみませんか?そこには、きっと想像以上の可能性が広がっているはずです。
この記事が参考になった方は、ぜひあなたの経験や考えもコメントで教えてください。一緒に議論し、学び合いましょう!